英語で「ちょっとすみません」と言いたくて「Sorry.」から会話を始めてしまってませんか?
実はそれ、日本語の“丁寧さ”をそのまま英語に持ち込んで違和感が出てしまっているかもしれません。
日本人のビジネス英語には、つい使ってしまいがちな“罠”がいくつかあります。
本記事では、私自身の実体験をもとに、日本人がよく使うけど誤解されやすい英語表現5つを紹介し、ネイティブが実際に使う“自然な表現”とその背景をわかりやすく解説していきます。
「了解しました」= I understand. の違和感と使い分け
「了解しました」と言いたい時、英語ではつい I understand. を使いがちですが、これはビジネスでは少し無機質で受動的な印象を与える可能性があります。
ユースケース別の自然な言い換え例
相手 | 表現 | 解説 |
---|---|---|
上司 | Sounds good. / Understood. | 柔らかく意思を示す。Got it より丁寧。 |
同僚 | Got it. / Will do. | カジュアルな現場でよく使われる反応。 |
部下 | Okay, makes sense. | 理解と納得の両方を含む。 |
クライアント | Noted. / Thank you for the clarification. | ビジネスライクでフォーマル。 |
私も当初「Got it.」「Will do.」は砕けすぎていて失礼かも…と感じていましたが、実際には「ムダのない返答」としてポジティブに捉えられることが多く、相手との関係性や文脈によって使い分けができます。
また、話し合いの最中に「そうですね」「分かりました」を伝えたく、「I understand.」を使ってた時、上司から「わかっただけなのか?賛成しているのか?」と尋ねられたこともありました。(こちらは下の記事で詳しく紹介しています。)

「よろしくお願いします」= Thank you in advance. の誤解
「丁寧さ」を重視する日本語らしい表現ですが、英語の Thank you in advance. は “やって当然”という圧を与えることがあるため注意が必要です。

新人時代、メールの最後は常に Thank you in advance. Best regards, で締めていました。先輩から「丁寧に見えるから」と教わってきたからです。
でもアメリカ人上司から、「それ、相手がやる前提に聞こえる時あるよ」と軽く指摘され、丁寧なつもりが逆効果になっていたことに気づかされました。
おすすめの言い換え表現
目的 | 表現 | ニュアンス |
---|---|---|
丁寧に依頼 | I’d appreciate your help. | 協力してくれたら嬉しい |
フィードバック依頼 | Looking forward to your feedback. | 建設的で前向きな印象 |
締めの一言 | Let me know if anything’s unclear. | 優しさと気配りが伝わる |
「ご確認お願いします」= Please confirm. の圧力問題
Please confirm. は間違いではありませんが、単体で使うとやや“上から目線、命令形”に聞こえてしまうことがあり、温度感の調整が重要です。
「Could you please confirm?」だと標準的なビジネス丁寧レベルです。これをさらに柔らかくしたいときは以下の表現がおすすめです。
状況 | 表現 | 補足 |
---|---|---|
丁寧な依頼 | Could you please confirm? | 標準的なビジネス丁寧語 |
柔らかめ | When you have a moment, could you take a look? | 忙しさへの配慮を含む |
カジュアル | Let me know if everything looks good. | 同僚や親しい相手向け |
「確認してほしい」という意図でも、伝え方ひとつで相手の心理的負担が大きく変わるのが英語の特徴です。
「お疲れ様です」=訳せない日本文化の罠
「お疲れ様です」って本当に万能で便利な言葉ですよね!
メールやチャット、Face to Faceでも、会話の最初に、会話の最後に、上司、同僚、部下にも。
残念ながら、英語では1語で置き換えられる最適な表現がありません。
上司、部下、同僚、メールの冒頭から退社時の一言まで、状況によってニュアンスが異なります。

Slackで同僚に “Cheers!” と言われて、「え、乾杯?」と戸惑ったことがあります。
でも、英国やオーストラリアでは “Thanks” のようにカジュアルなケースで使われることもあると知りました。
シチュエーション別の代替表現
シーン | 表現 | 説明 |
---|---|---|
メール冒頭 | Hi there, Hope you’re doing well. | 形式的な挨拶でOK |
退社時 | Have a good evening. | 丁寧で自然な別れの挨拶 |
部下への労い | Thanks for all your help today. Great job. | 労い+感謝を込める |
上司へ | Thanks again for your time earlier. | 具体的な感謝が効果的 |
「すみません」= Sorry から始まる“謝ってないのに謝ってる”問題
日本語の「すみません、ちょっといいですか?」のような前置きをそのまま “Sorry, can I ask…” と初めてしまうと、本当に『謝っているように』伝わってしまいます。

実際、会話のほとんどが “Sorry” で始まっていた私に、同僚が “You don’t have to say sorry all the time” と言ってくれました。その時、私は「謝ってるつもりじゃなかったのに…」とショックを受けました。
そしてさらにサプライズだったのは、その意味のない謝罪が『自信がない人』に見えていたということ。つまり丁寧なつもりの表現が、自分の印象を損なっていたということです。
代替・補足表現
状況 | 表現 | 補足 |
---|---|---|
会話導入のための「すみません」 | Excuse me. Quick question. | “Sorry”より自然に注意を引くことができる |
本当に謝罪するなら(軽い) | My bad. | カジュアル、フランクな関係で使う |
本当に謝罪するなら(本気の謝罪) | I apologize. Please accept my apology. | フォーマルで深刻度高め |
まとめ:丁寧さではなく、伝わる英語を選ぶ
日本語の“丁寧な言い回し”は美しい文化ですが、英語圏のビジネスでは、それが逆に「曖昧」「弱々しい」「強制的」に映ってしまうことがあります。
意識すべきポイントは以下の3つです。
- 直訳を避け、意図が伝わる言葉を選ぶ
- 「謝ってないのに謝ってる」パターンを減らす
- 相手と文脈に合ったトーンで使い分ける
私自身、日々このズレと向き合いながら、英語でのコミュニケーションを調整してきました。今回ご紹介した表現を、ぜひ日々のやりとりに取り入れてみてください。
コメント