普通に通じる英語、でも“もったいない”こともある
ビジネスの現場で英語を使っていると、「言いたいことは通じているはずなのに、なぜか相手の反応が薄い」と感じたことはありませんか?
文法も合っているし、意味も伝わっている。けれど、相手の納得感や共感が今ひとつ——。
それは、もしかすると言葉の“選び方”が惜しいのかもしれません。
特に英語ネイティブと仕事をしていると、彼らの表現の“自然さ”や“前向きさ”に驚くことがあります。
そこで今回は、「普通に通じるけれど、こう言い換えるともっとスマートで前向きに響く」という表現を厳選してご紹介します。
実例で学ぶ「前向きに聞こえる英語」の魔法
ここでは、ビジネスシーンでよく使われる言い回しを「OKな表現」→「より前向きな言い換え」にして紹介します。
ニュアンスを丁寧に解説しながら、すぐに使える例文も添えています。
会議・ディスカッション編
continue → move forward
💡 解説: 単なる継続ではなく、改善・前進の意志が伝わる
📘 例文: Let’s discuss how we should move forward with the project. (このプロジェクトをどのように進めるべきか話し合いましょう。)
not agree → another perspective
💡 解説: 否定ではなく、別視点の提案として伝えることで柔らかく対話的に
📘 例文: That’s an interesting point. Let me offer another perspective on this. (興味深い視点ですね。これについて、別の見方もご紹介させてください。)
discuss later → circle back/ come back later
💡 解説: 後で話そうだけだと重要性低く放置っぽく響く。「あとで話す(come back later)」も普段使いできる。が、再検討やフォローアップの意志がより伝わるので、ネイティブビジネス英語では「circle back」が好まれる傾向
📘 例文: Let’s circle back on this after lunch. (ランチの後にこの件についてまた話しましょう。)
done → all set
💡 解説: 「完了した」という状況説明だけではなく、「準備万端である」という安心感を与える表現
📘 例文: The deck is all set for tomorrow’s meeting. (明日の会議の資料はすべて準備万端です。)
check → closer look
💡 解説: 「チェックする」より丁寧かつ協働的な印象を与える
📘 例文: Let’s take a closer look at this document together. (この資料を一緒にもう少し詳しく見てみましょう。)
メール・報告・依頼編
Let me know → Keep me posted
💡 解説: 継続的なアップデートを促す言い方で、信頼感もUP
📘 例文: Keep me posted on any updates. (何か進展があったら、随時教えてください。)
must / have to → would be helpful / might make sense
💡 解説: 強制的な印象を和らげ、提案型に変える
📘 例文: It might make sense to align with the marketing team first. (まずはマーケティングチームと調整するのが良いかもしれません。)
criticize → give feedback / provide input
💡 解説: 批判を避け、協力的な響きに変える。(本当は批判まで行かなくても注意したいことがたくさんあってもそうは言わないのがProfessional)
📘 例文: Let me give you a bit of feedback on your presentation. (あなたのプレゼンについて少し意見を述べさせてください。)
※フォーマルにしたい場合は “I’d like to provide some input…” も有効。
misunderstood → Let me clarify
💡 解説: 誤解を責めず、自分の説明が不十分だった原因を伝え、その上で丁寧に補足する
📘 例文: Let me clarify what I meant on that point. (その点について、私の意図をもう少し明確にさせてください。)
delay → reschedule / shift the timeline
💡 解説: “遅れ”ではなく“調整”というニュアンスにする
📘 例文: Can we reschedule the launch to better align with the partner’s timing? (パートナーのスケジュールに合わせて、ローンチを再調整できますか?)
修正・改善・提案編
problem → challenge
💡 解説: “問題”から“課題”へ。前向きな捉え方に変える
📘 例文: We’re facing a challenge, but it’s also an opportunity to grow. (課題に直面していますが、成長のチャンスでもあります。)
problem → room to improve
💡 解説: “問題”という否定を「まだ伸びしろがある」的なニュアンス
📘 例文: There’s room for improvement in how we communicate with partners.(パートナーとのコミュニケーションの仕方に改善の余地があります)
re-consider → revisit
💡 解説: “再検討”よりも“再確認・再考”という共同の響きに
📘 例文: Let’s revisit this in light of the new data. (新しいデータをもとに、これを見直してみましょう。)
improve xxx → continuously improve xxx
💡 解説: continuouslyを追加するだけで、継続的な努力の文脈を加えることで誠実な印象に。これがないと直接過ぎて、これまで全然努力してなかった様なニュアンスも。
📘 例文: I know you will continuously improve it. (これからも継続的に改善していってくれると思っています。)
impossible → currently not feasible
💡 解説: 無理、という後ろ向きな言葉は使わず、結果は前向きになる主旨につなげるクッションとして現状では難しいという伝え方にする
📘 例文: It’s currently not feasible, but we can explore alternatives. (今は難しいですが、他の選択肢を検討できます。)
wrong → Let’s explore an alternative approach
💡 解説: 間違いを指摘する代わりに、新しい提案を提示する
📘 例文: Let’s explore an alternative approach that may work better. (もっと良いやり方を一緒に探してみましょう。)
mistake → Let’s double-check this part together
💡 解説: 責任追及ではなく共同確認を促す
📘 例文: Let’s double-check this section just to be sure. (念のため、この部分を一緒に再確認しましょう。)
私自身の気づき:「to solve」「to achieve」で変わる印象

今回の記事をまとめようと思ったきっかけは、ふとした気づきです。
たとえば “problem” や “issue” という単語。
これらをそのまま使うと当然「問題」「課題」「困りごと」となり、伝える文章全体がネガティブに聞こえがちです。(伝えている人までネガティブ思考な人っぽく・・・)
でも、そこに “to solve” や “to achieve” を加えると、なんとなく「前向きに行動を起こそうとしている」印象に変わる、というものです。
✅ This is the issue. → This is the issue to solve.
✅ This is a huge challenge. → This is a huge challenge to achieve.
いずれも文法的には正しく、意味も伝わりますが、後者には「目的」や「達成意志」が感じられます。
日本語でも「これは問題です」より「これは解決すべき課題です」と言った方が、行動の方向性が見えるのと同じです。

もちろんこれは私個人の感覚かもしれませんが、実際にこうした言い回しを使ってみると、相手の反応がより前向きになることが多いと感じます。
これは英語に限らず、「言葉の選び方一つで“その後の行動”への態度が変わる」という、グローバルなビジネス共通のセンスでもあります。
前向きなコミュニケーションは“言い方”で変わる
ビジネス英語では、文法の正しさや語彙の多さ以上に、「相手との関係性」や「やり取りの空気感」が問われます。
そしてその空気感を左右するのが、まさに“言葉の選び方”です。
- 断定を避け、余白を持たせる
- 命令形や否定形ではなく、提案や相談の形で伝える
- 問題の指摘よりも、改善のきっかけとして共有する
こうした細やかな言い換えが、相手との信頼感や協調性につながります。
今回ご紹介した表現は、英語ネイティブらしさを単に真似するためのものではありません。
「お互いに気持ちよく仕事を進める」ための言葉の工夫として、ぜひ取り入れてみてください。
コメント